幼馴染の「陽菜」といつも仲良く遊んでいた主人公、
「雄太」の二人はある日、蔵の奥から
見たことのない文字で書かれた古びた本を見つけた。
二人は「魔法の本」と名付けて宝物にし、いつも持ち歩いていた。

そんなある日、裏山で一緒に木登りをして遊んでいたら
陽菜が足を滑らせて木から落ち、怪我をしてしまった。

慌てて駆け寄ると膝から血が出て痛がっていた。
雄太が慌てていると突然「魔法の本」が輝き出し、
雄太は謎の言葉が脳裏に浮かび、つぶやいた。

すると、雄太の指先が光り、陽菜の傷がみるみる治っていった。
二人はそれが魔法だと思い、大はしゃぎ。
そして他にも魔法が使えないか試してみるが
魔法はその一度きりで不思議な事は何も起きなかった。

それから数ヶ月が過ぎ、雄太は両親から突然引越しする事を聞く。
その事を陽菜に告げようとするもなかなか言い出せなかった…。

数日後、引越しの日がやって来た。

結局「サヨナラ」の挨拶も言えずじまいの雄太。
トラックに乗り込み、走り出した瞬間、陽菜の声が聞こえた!

「まって、雄太ちゃん!」

雄太は窓を開け、追いかけて来る陽菜を見ると、
持っていた魔法の本を陽菜に向けて投げ渡した。

「必ず帰って来るよ、それまでその本を大切にしておいて!」

トラックと陽菜の距離は次第に開き、見えなくなってしまった──。


そして歳月は流れ「陽菜」の事も「魔法の本」の事も
たまにしか思い出さなくなったある日、両親が海外赴任になった事を聞く。

日本に残りたかった雄太は従姉妹の千鶴の家に厄介になることになった。
その千鶴の住む家は、主人公の生まれ育った街にある。

幼い日を過ごした懐かしの街へ戻って来た雄太の生活が始まるのだった…。